はり灸Q&A

引用元2000年9月発行 針灸Q&A 鈴木育雄著

以下引用


Q. 針治療を受けたいのですが、針は痛くありませんか。


 針を刺すというと、縫い針を指に刺すような痛みを想像する方もいると思います。しかし、そんな心配は無用です。縫い針と針治療でふつう使う針とでは、太さが違います。針治療でよく使う針は、髪の毛程の太さです。また、刺しても痛くないように、針尖が特別な形をしています。そのため、針治療はほとんど痛みを伴うことがありません。
それに、針治療というとブスブスと何センチも深く刺すことばかり考えてしまいますが、1〜2ミリぐらいしか刺さないで、よい治療効果を上げることも少なくないですし、まったく針を刺さないで皮膚に触れるような種類の針もあります。そのような刺さない針は「接触針」といい、赤ん坊や子供の治療によく使われます。
ですから、初めて治療を受けると、痛くないので驚く方が多いように思われます。時として、痛みに対して過敏な人もいますが、そういう場合は痛みを感じないように治療家がいろいろと工夫をしますので心配はいりません。針灸治療をためらっている方は、思い切って受診されることをお勧めします。きっと、痛くないので驚いてしまうでしょう。

Q. 針の効果はどのくらい続くのでしょうか。


針灸治療は、針をしたり、灸をしたりして、皮膚や筋肉に小さな傷をつくります。
針灸治療は、治療をしているときだけ刺激されている(効いている)ように感じますが、実際は治療によって生じた小さな傷を修復すること自体がよい刺激となります。ですから、針灸治療の場合は、治療によって生じた小さな傷が治るまでの間、体が絶えず刺激されていることになりますので、その間効果が続くともいえます。
また、そのような小さな傷ができた場合に起こる体の変化とは、傷を治すために体内で免疫系、循環器系、自律神経系などの機能が高まるという変化です。この変化が小さな傷を治すついでに体に良い副作用を起こしているようです。

Q. 針と灸では、どちらの方がよくきくのですか。


一概に、どちらがきくとは言えません。病気の状態によっては、それぞれのちりょうが適応することがあるからです。しかし、針の方が優れた治療法であったり、高級な治療法であると勘違いをしている方一般的には多いようです。
 これは、お灸は誰にでも簡単にできますが、針は針師でないとできないことが一因のようです。実際、お灸だけで十分な効果があがっていても、お灸だけで治療を終えようとすると、「針もやってください」と言われることが少なくありません。同じ治療費でしたら、なるべくいろいろと優れたものをやってもらいたいし、そのほうが早くよくなるのではないかと考えるのが人情でしょう。ところが、病気や体の状態によっては、お灸だけにしておいた方がよいこともありますし、針とお灸を併用しなければ改善しないこともあります。
 印象ですが、長期間、患っている場合、体力がとても低下している場合、冷えがある場合、免疫の異常が関係する病気の場合、体質の関与する病気の場合などは、お灸のほうが優れた効果を上げるように思います。
 一方、急性の場合、症状が激しい場合、体力の十分ある場合などは、針がよい効果を上げるようです。
 とはいいますが、実際の臨床では、このような一般的な使い分けが当てはまらないことが多くあります。結論としては、どちらがよいとはいえず、両方とも優れた面を持っていますが、「針よりも、灸のほうが優れた効果を上げることが少なくない」ということをとりあえず知っていただければと思います(一般に、「針治療のほうがすごい」と思う人が多いので…)。

Q. 針は、なにからできているのですか。


ほとんどの針は、ステンレスでできています。金・銀・鉄の針もありますが、高価だったり、軟らかすぎたり、さびやすかったりで、特別な場合以外はあまり使いません。「日本にはステンレスの地金を作っている会社は1〜2社しかなく、材質はほとんど共通である」と針のメーカーから聞いています。メーカー間の加工技術の差はありますが、針の材質自体はほぼ同じものです。
 針のエックス線解析では、次のような組成であるという報告があります。[鉄:70.00%、クロム:18.12%、ニッケル:8.54%、マンガン:1.24%、ケイ素:0.46%、その他(リン・イオウ・炭素)]
 このような組成ですので、これらに金属アレルギーのある人では、針でかゆみや発疹のでることがありますのでちゅういしなければなりませんが、この点は施術者にあらかじめ確認されますし、話しておくとうまく対応してくれます。